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料理はいちばんの身近なエンターテイメント・料理教室「KISSAKO」

横浜市金沢区の料理教室「KISSAKO」は「ママクラス」に加えて「キッズクラス」という子ども向けの料理クラスがあります。子どもたちは「KISSAKO」で、食材を自分たちで切ったり煮たりする変化に目を輝かせているそうです。科学実験にワクワクするように、音や香りに敏感に反応し、感動してくれるそう。「大げさかもしれませんが『日本の将来のために』やっているという想いがある」という鈴木先生。

2018年03月09日更新

鈴木 聖子(料理研究家)

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子どもたちと家族が食を通して生き生きと学べる、その大切さを実感している鈴木先生は、地域の名産PRや地域の雇用まで視野に入れて活動をしています。「料理が得意な方より、普通の主婦に来てほしい」というママクラスも、予約を開始した次の日には予約が満席になってしまうという人気ぶり。「料理を丁寧に自分で作ると身体も元気になり、心も頑張れる気がする」…「料理は人を癒し、和をつくる」という鈴木先生の料理教室の魅力に迫ります。

キッズクラスは男の子も参加!3歳からの料理教室

「こちらの料理教室は、ママクラスとキッズクラスがあって、開講は月に10回ほど。一日3コマ、受講総人数は月に100人ほどになります。ターゲットは子育てしている世代ですね。」

料理教室「KISSAKO」は横浜市金沢区の閑静な住宅の一角にあります。駅からは少し距離があり決して便利な場所ではありませんが、大人気の教室です。人気の秘密の一つに、キッズクラスがあります。

「キッズクラスは3歳から参加できるクラスなんです。未就学児には親御さんがサポートについていただきますが、小学生からは子どもだけで参加するクラスです。料理を作って持って帰って、家族に成果を見せることが出来ます。男の子も積極的に参加しているんですよ」と鈴木先生は説明してくださいました。

「男の子たちに、これ炒める人~?と尋ねると、ハイハイ!と争ってやりたがってくれて、微笑ましいんですよ。家でもお手伝いしているそうです。今の子達は、男だから料理しない、という感覚ではないみたいなんですね。学校でも料理教室のことを朝の会で発表してくれたり…幼稚園のお弁当に自分で作ったおかずを持参してくれたり…みんなに褒められると自分の自信に繋がるようですね」と、未来の「料理男子」の育成にもキッズクラスは役に立っているようです。

キッズクラスは3歳から参加可能ということですが、包丁や火の扱いなど小さな子どもには注意が必要な場面も多いのでは?とお尋ねすると、

「包丁も切れない子ども用ではなくて、本当の包丁を研いだり、使うことによって本当の意味で料理をしてもらいたいと思っています」とのこと。小さい子どもたちの「やりたい」という気持ちを重視し、子どもたちと料理をする時の「約束」をするのだそうです。

「しっかり子どもたちに約束ごとを伝えます。火の取り扱いや包丁についてですね。そうしたら、他は任せる。小さな子はお母さんのサポートももちろん付いてもらってますが、自分でやりたがりますね。触らないで!みたいな。子どもだけど、しっかり意思を持っていますから。大人で肉じゃができたからって飛び跳ねる人はいないけど、子どもだと出来た時に飛び上がって喜びます(笑)」。

このように大好評のキッズクラスですが、子どもたち向けのクラスがあることでママさんクラスにもいい影響があるそうです。

「キッズクラスがあることがいい効果をもたらしています。子どもも習っているっていう安心感があって、子どもが習っていて、面白そうだから行こうかな、という方もいらっしゃいます」。近隣の方が生徒さんには多いそうですが、もともと料理教室を開講していた藤沢から通ってくださっている方もいるそうです。

マンネリ化している普通の主婦にこそ来て欲しいママクラス

教室は約1時間半で、午前1クラス、午後から夕方で2クラス設定されています。ママさんクラスというと、料理が得意でランクアップしたいという方が高度な料理に挑戦するイメージがありますが、「KISSAKO」のママさんクラスは少し違うそう。

「ママさんクラスは初めて料理教室に来ました、料理作るのが苦手です、という方が比較的多いですかね。もともと、そういった方に参加してほしいと思って開講したんです。子連れもOKですし。行きたくてもいけない、という方に参加して欲しくて。もっと美味しく作りたい!コツを知りたい!という普通の主婦の方に来てほしいですね」。そのため、レッスン代金も気軽に通える価格に設定されています。

では、レッスンで作るメニューはどのように決めているのでしょうか?
「季節のメニューで、外食でしか食べてないもの、家ではなかなか作らないなぁというものもやってみたり。夏はエスニック、お正月はおせちなど。季節に合わせて、その時に自分が食べたいもの、ですね!」と明るくおっしゃいます。でも、3年間通っている方もメニューが1回も被っていないそうです。それだけ「これを作ってみて欲しい」という自慢のメニューが、鈴木先生のレシピにたくさん溢れているのでしょう。

料理は、普通の主婦は改めて習うことはあまりありません。昔は花嫁修行という言葉もあって、結婚前に母親に習う習慣がありましたが、今は「なんとなくで作っている」方も多いそうです。

鈴木先生のレッスンは「何故この順序なのか?とかひとつまみってどれくらい?」など、小さな気づきがあります。主婦の家庭料理がより美味しくなるポイントを、改めて伝えてくれるレッスンなのです。「料理は科学に近いけど、理由知らないことが多いので、その理由を伝えるようにしています」と鈴木先生。

今はレシピも、ネットにも書店にもたくさん溢れています。でも、レシピの文字に書かれていない行間の部分が大切だと鈴木先生は語ります。「気温や季節、買ってきた野菜によって料理のコツは変化します。それを知るのが料理の醍醐味でもあるんです。五感をフルに使って作ることによって、記憶にも残るし、また作りたいという気持ちにもなります」。

「KIDADAKO」に集った人たちは、会話も楽しんでいる、と鈴木先生はおっしゃいます。子育ての話でお互いおしゃべりしつつ、ご飯を食べる。料理によって和が出来て、みんなが元気になれることが嬉しいですね。

家族で作る味噌作りは「生きた学び」、季節と文化を食を通して学ぶ

ママクラスは5人、キッズクラスは4人という少人数クラスが基本ですが、年始には「味噌作り」をお父さんも参加してたくさんの方が集うクラスになりました。「味噌作りはとても面白いですよ。夏を越えて秋頃に食べごろになるのですが、家の気温は家庭ごとに違いますよね。一緒に作って、同じ材料でも味が異なるんです。作った方の手によっても変わる」。普段はお店で購入する味噌が、豆から出来ていて発酵させて美味しくなる、そんな過程を家族で学べる場所は「生きた学び」の場と言えるでしょう。

「おせちは家に帰っても作りました!という声が多くて、とても好評だったんです。今の時代は、クリスマス料理の方がメインで…あまりおせちを作る時代でもないのかな?と思ったんですが、ご実家に帰省する際にお土産で伊達巻作りました!と報告してくれて嬉しかったですね。田作り、なます、煮しめ、ローストビーフ、関東風のお雑煮、デザートを1回のクラスで作りました」。1ヶ月、10日くらいこの単発クラスが開かれています。生徒さんは改めて、食を通して日本の文化や季節の移り変わりを家族で感じているのです。

「女性の方がメインの教室なので、生活環境も変わりやすいですし、無理なく参加できる単発クラスにしています。他のお教室ではコース制もありますが、私は単発クラスが向いていると思っています。来たいメニューの時にだけ、来て欲しいという気持ちです」と単発コースのメリットを鈴木先生は説明してくださいました。

丁寧に作った料理は自分の心も身体も癒す

以前キッズクラスに通っていた高校生は、現在受験生だそうですが「気分転換は料理」とのこと。中学生になって、自分でお弁当を作ってくれる子も多いそうです。料理を作ることによって気持ちが変わり、前向きになる…そんな経験は鈴木先生自身も経験しています。

「私自身、環境が変わって、このシェアハウスに入居しました。不安を通り抜けて、この場所にやって来た時に、久しぶりにお出汁をとって味噌汁を飲んだんです。その時、とても美味しくて。ああ、料理って癒される…と実感した瞬間でした。安くてお腹いっぱいになるものは簡単に買えるんですが、丁寧に自分で作ると身体も元気になりますし、心も頑張れる気がしたんですよね。」

子どもの頃から、自分でご飯やおやつを作ることが好きだったという鈴木先生。そして、大学で栄養士の資格を取得します。大学で四年間、勉強しているうちに「相手の喜ぶ顔が見える、幸せな食事がいいな」と思い、飲食店に就職をしました。そこではサービス業務を担当。スタッフトレーニングや商品開発など、店長業務を務めます。また、オーストラリアでバラエティ豊かな食文化に出会いました。「オーストラリアにてワーキングホリデーで、飲食店に勤務もしました。そちらもサービスのほうなのですが…そして帰国してクッキングスクールに勤めることになりました。」

鈴木先生はそこで10年間、料理を教える仕事に従事します。「でも、子どもも産まれ、震災があったこともあり…家でできる仕事がしたい、と考えて独立したんです」。2013年に藤沢でKISSAKOを開講、2016年に横浜金沢に移転しました。

食をきっかけにコミュニティが広がっていく~地元の名産と消費者を繋ぎたい

お子さんがキッズクラスを受講してらっしゃるシェアハウスのオーナー・長嶺雅子さんは「子どもたちは食を通して様々なことを学びます。例えば、大さじ2分の1というのは算数に通じますし、食材の産地を地図で調べ、どんな場所なのか知ることは社会の勉強に繋がります」と子どもたちが学ぶ姿を教えてくださいました。

黒板を見ているだけでは学べない、生きる学び、がそこにはあるのだそうです。今の学校では米の産地をただ「記憶する」という単純な学びになりやすいのですが、お米を砥ぎ、その品種を知り、食べることで子どもたちは生き生きと学びを深めることができるのですね。

自宅で開く料理教室は、午前中からお昼の1クラス、ということが多く、鈴木先生は「午後の時間も何かクラスをやりたい」という想いもあってキッズクラスを実施したそうです。学校や幼稚園が終わってから、通える時間にクラスを設定しました。「今の子どもたちは習い事がとても多いので、月1回の料理教室は続けやすく、楽しみにしている子が多いようです」。

鈴木先生自身のお子様も料理に親しんでいて「あまり口には出さないんですが、料理教室を私が開いてることを嬉しく思っているみたいですね。料理も『私は一通りできるから』とご飯を炊いてくれたりしますよ」と、嬉しそうに語ります。

「材料費などを考えると、レッスン料金はかなり安いと思いますが、大げさかもしれませんが『日本の将来のために』と思って通いやすさを優先したいです。子どもたちに料理の楽しさを知ってほしいですよね」。

また、「KISSAKO」は食を中心としてコミュニティが作られています。鈴木先生は、料理教室以外にも幼稚園で味噌作りのレッスンを開催したり、移動販売車を使ったお弁当販売を行なったり、夏のお祭りや地域の食のイベントに出店したりして活動の幅を広げています。こういった外部に向けた活動がきっかけで、お教室に来てくださる方もいらっしゃるそう。「KISSAKO」は駅からも少し距離があり、閑静な住宅街。それでも、教室は満席という人気ぶりは、地道なPR活動と美味しくて温かい料理がみなさんの心に響くせいかもしれません。

「お弁当販売はお教室を知っていただけるきっかけにもなりますし、漁港で開かれる海産物のイベントでは、地元の生海苔を使ったお蕎麦を販売します。地元の名産の良さを伝えていきたいんですね。横浜金沢区の美味しい物をPRして知ってもらって生産者さんと消費者を繋げることもしたい。ゆくゆくは、お弁当も地元の漁港で取れた魚や名産を使って作りたいと考えています」。

地元の名産をPRするのみだけでなく、鈴木先生は地域の雇用にも目が向けられています。「地元のママさんも『仕事をしたい』という方が多いんですね。お弁当の配達など、ママさんたちに仕事を依頼できるような、地域貢献に広げていきたいんです」。食を通して、地域を活性化していきたい。生きた食育で子どもたちの将来を豊かにしたい。そんな想いが「KISSAKO」のコミュニティを作り、料理で人と人が強く繋がっていくのだと思いました。

「KISSAKO」は食を通して地域や家族の「和」をつくる

鈴木先生の料理教室の経営の秘訣はなんでしょうか、とお尋ねすると
「大事なことは誰かの真似ではなくて、自分がやりたいメニュー、自分が来て欲しい人たちがハッキリしていることかな、と思います。『誰に向けてのメニューなのか』が決まっていてターゲットが定まっていると、成功するんじゃないでしょうか。万人にうけるメニューをやってしまうと、何がやりたいのか?メッセージが伝わりにくくなりますし」と教えてくださいました。

味噌作り、季節のおせち作りなど、鈴木先生らしさが十分に発揮された「プログラム」になっていますし、キッズクラスは「教育プログラム」と言っても過言ではないでしょう。「今月はキムチを漬けて、サムゲタンと一緒に食べよう。冬の寒い時期はせいろを使って蒸す料理にしよう。シュウマイもせいろだと水分がつかなくて、仕上がりが違うんです。季節に食べたい食材を選ぶこと、去年と被るメニューは避けるなど、工夫しています。試作してレシピを作ります」と生き生きと語ってくださいました。

人と集って料理を作ることが、心から「好き」––––––そんな想いが伝わってくる鈴木先生。「KISSAKO」は今後も食を通して、地域や家族の和をつくる、そんな料理教室として大きく活動を広げていくでしょう。

お教室情報

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