ピアノ教室開業までに準備しておきたい資格や届け出・知識とは
いままで趣味程度でピアノを教えていたが、本格的に教室を開きたいと思い始めた、もともとピアノが好きでピアノを教えていきたいと思っている人はそれなりにいると思います。でもなにを準備すればいいのか、どういった手続きが必要なのか一から調べるのは結構大変です。またピアノ教室を開業する資金もどれくらい必要か、事前にわかっていないと始められないですよね。ここではそういった方のために、ピアノ教室の開業までの流れと必要な開業資金についてご紹介したいと思います。
2018年03月05日更新
記事の目次
ピアノ教室を始めるために必要な資格
ピアノ教室など専門的な知識が必要なものは資格が必要なのか、と思う人もいるでしょう。しかしピアノ教室を開業する際には特に必要な資格はありません。ある程度の技能と教えられる教養があれば誰でも開業できるということです。
しかし開業となるとピアノの技能だけでなく様々な知識が必要になってきます。開業のための勉強もしなくてはなりません。まずはなにから覚えればいいのか、ここでしっかり勉強してこれからのためになればと思います。
ヤマハ音楽教室にある検定
ヤマハの音楽教室では、ヤマハグレードという検定があります。級によって指導者クラスか演奏家か趣味でやっているのかの目安になっていて、通常ヤマハの講師の人は3~5級のピアノ演奏グレードをもっていることが一般的です。
数字が低いほど技能を持っているとされます。2級と1級以外は受検資格がほとんどないので気軽に受けることができます。
ヤマハグレードの検定級(各税抜)
- 13~11級
受験料 1,500円 鍵盤初期学習者の人が受ける検定。ヤマハ音楽教室に在籍していなくてもレッスン指導者がヤマハの試験官に認定されていれば受検資格があります。
- 10~6級
受験料 10級 4,000円 9・8級 5,000円 7・6級 6,000円 音楽を学んでいる人や趣味で音楽を楽しんでいる人が受けることがあります。一般のピアノ学習者も受検できますが、主にヤマハ音楽教室の在籍生が受検されています。
- 5~3級
受験料 5級 9,500円 4級 10,500円 3級 12,500円 主に音楽の指導者や専門家になる人、または目指している人が受検します。
専門的な知識や能力が問われ、ヤマハ音楽教室の講師は基本このグレードを取得しています。 - 2級
受験料 50,000円 主に演奏家や演奏家を目指している人が受ける検定です。2級は受検資格が入り、ピアノ演奏グレード3級を取得しているか同程度の音楽力があることを証明している人になります。
- 1級
現在受検をしていません。
ピアノ教室開業までの準備
ピアノ教室を開業するにあたって必要なことがいくつかあります。
教室を開業するために必要な予算
いったいいくらあれば教室を開業してやっていけるのか、そこをしっかり把握しておかなければ継続してやっていけません。6ヶ月生活していける資金があれば大丈夫といわれています。開業資金+6ヶ月の生活費+6ヶ月の教室の維持費を計算して出てきた予算があれば、始める一つの指標にするのがいいでしょう。
ピアノの準備
ピアノ教室に欠かせないものといえばピアノでしょう。ピアノにも種類は沢山あります。グランドピアノ・アップライトピアノ・電子ピアノと様々なものがあります。
理想をいえばグランドピアノです。レッスンに通われる方や通われる子の保護者の方もできるならグランドピアノで教えてもらえる環境にいきたいと思っていますので集客も有利になります。
安いコンパクトなグランドピアノでも30~40万円以上、本格的なものになると200万円以上しますので、予算が厳しいという人はアップライトピアノや電子ピアノという選択肢になります。アップライトは19万円~、電子ピアノは5万ぐらいからあります。
備品など消耗品各種
机や椅子、スリッパなど細かいものもすべて1から揃えるとなると予算は膨れ上がってきます。どれくらいの人数か想定して一式揃えましょう。
税務署に開業届の提出
お住いの管轄の税務署に開業届を出しましょう。企業に勤めず自営業のようになる場合は個人事業主となり、開業届の提出が必要です。通常開業届の提出は事業を始めてから1ヶ月以内の提出となっていますが、期限を過ぎても特にお咎めはないので確定申告時に一緒に提出するという手もあります。
ピアノ教室開業に必要な届け出
開業届を出すと、次の年から毎年確定申告書が送られてくるので忘れがちな人は出しておいて損はないでしょう。
開業届を出すという行為をするだけでも個人事業主としての自覚が芽生えて気が引き締まります。これから個人事業主としてやっていこうと思っている人は、初めから出しておくことをおすすめしますよ。
ピアノ教室開業のために必要な経営の勉強
ピアノ教室での開業の仕方も2種類あります。まず個人事業主自身が講師となって生徒に教える個人事業主のパターン、そしてもう1つは経営者として教室の運営をメインにし、講師を雇用するテナント型の開業の仕方があります。
ピアノ教室を始めようとしている人の大半は前者だと思います。後者は主に経営のリスク分散を狙った他事業が参入してくる例で、ピアノ教室の運営というより経営のノウハウ自体が重要になってくるからです。音楽を習っていた人や音楽系の大学を出ていて開業する人は経営のノウハウも学びながらピアノ教室を運営していかなければなりません。なので開業する前に経営のこともしっかり学んでから開業しましょう。
収支の計算
必要になってくることの1つが収支の計算です。収入に比べて支出が多ければいくら沢山の生徒が入っていてもピアノ教室を続けられません。ピアノ教室の性質上、消耗品は他の教室に比べて少ないです。生徒用の出席簿や鉛筆などが主に上げられますが開業するときに揃えるスリッパや机・椅子などは一度揃えれば、買い替えることがない限りはずっと使い続けると思います。そういった消耗品は経費で落としましょう。
また開業するときに購入したピアノも経費で落とすことができます。高い金額のものを経費で落とす場合、減価償却といって数年に渡って経費で落とす方法があります。分ける年数の目安は購入したものの耐久年数によって違いますが、ピアノの場合は基本5年となっています。購入した金額を5年に分けて経費に計上すると良いでしょう。
防音設備について
その他で大掛かりなものと言えば自宅を防音仕様に変えるなどの出費があります。周辺の住宅の迷惑にならないように欠かせないものの一つでもあります。とはいえ防音工事の業者に頼むと100万円前後の価格になるのでこちらも減価償却の対象です。
お金が掛かるからといって防音設備を怠ると、苦情がきて教室自体の運営に支障が出るので気を付けてください。またマンション等の集合住宅では基本的に禁止されているところが多いので他のところでやっているのを見た、という理由でマンションでピアノ教室を始めないように注意しましょう。
ピアノ教室の集客
準備が整い、いざ開業するといっても生徒が来なければ開いても意味がありません。集客のためにはできることがたくさんありあります。
特に子供がピアノ教室に通う理由として、親の勧めで始めることが多いでしょう。そのためにやっておきたいのがホームページ作成です。今の時代インターネットで検索してピアノ教室を探す人が大勢います。そのためにしっかりホームページ制作をしていれば集客にもかなり影響を与えてくれるでしょう。周りにホームページ制作をする人がいなければクラウドソーシングなどで外注して作ってもらうのもありです。
その他でいえばポスティング・折込チラシ・ポスター・看板などの方法で集客します。近隣住民の方に周知するにはそれらの方法も効果的です。また名刺なども作っておくとよいでしょう。無料体験などを実施した際に、配っておくことでリピーターになってくれるかもしれません。
無料体験レッスンは効果的
大手のヤマハなども無料体験レッスンなどを実施しています。いきなりお金を払って始めるのは勇気がいりますからね。ですので、無料ではなくとも体験レッスンや都度払いの制度も充実していたほうが足を運びやすくなり、そこから生徒の募集に繋げるといったことも必要になってくるでしょう。
大事なのは一度でもいいから足を運んでもらうことです。そうすればしっかり学べるところであれば生徒になってくれる人も増えていきます。生徒の数が増えてくると口コミや噂で自然と足の運びやすいピアノ教室になるでしょう。そのためにピアノ教室を開業したばかりの頃はいろいろと試行錯誤しながら集客していくことになります。伝手や大手企業の提携であれば話は別ですが、一から開業するのであれば最初は生徒が集まらなくても粘り強く集客することが大事です。
既存のピアノ教室の講師になるといった方法も
先ほどまでは開業の仕方についてのお話でしたが、開業以外でピアノ教室に携わる方法があります。それは既存のピアノ教室の講師になることです。しかしいつでも求人が出ているわけではありません。
新年度になると生徒の募集に合わせて講師の募集もやっていることがあります。しかしその多くは学生からの新卒採用がメインです。それ以外でもピアノ講師の募集もないことはないのですが、その時期の募集はなかなか見られません。根気強く募集を探すことから始めることになります。
中途採用でピアノ講師になる
中途採用される理由として既存のピアノ教室の講師が育児休業や体調不良など、なんらかの理由で欠員になることで募集がかかる場合があります。そういった理由で講師が退職した場合の求人は常勤として採用されることもあるでしょう。もちろん継続的ではなく常勤の講師が戻るまでの一時的な採用といった場合もあり様々です。そうなるとアルバイト募集で求人されることが多いですね。
契約社員やアルバイトでピアノ講師になる
実はピアノ講師の募集は大体が契約社員かアルバイトです。また業務委託も行っていてピアノの技能や知識を持っている人ならだれでも講師になれる可能性はあります。アルバイトといっても給料は基本的に時給制ではなく教える生徒の数や講習の度合いによって変わってきます。担当するところが、生徒が少なかったり多かったりでも違ってくるでしょう。