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台所の智恵“ふつうのごはん”を教えてくれる料理教室「From Kitchen」

母親から娘へ…家庭の味を次の世代につなぐという、昔ならば当たり前に行なわれてきたことが、今はなかなか難しくなってきています。そんな普通の家庭料理や料理の智恵を教えてくれる料理教室『From Kitchen』。ごはんを炊くこと、お味噌汁を作ること、おうちで作ることの豊かさなど、「我が家の味を作る=どこにもない自分の家の味の歴史」をモットーに展開。これまでありそうでなかった新しい料理教室のカタチをつくり、たくさんの生徒さんを抱える『From Kitchen』代表の福島利香さんに、教室のことや今後の展望などいろいろ伺いました。

2017年11月27日更新

福島 利香(From Kitchen 代表)

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日々の料理に欠かせない“コツ”を伝授

『From Kitchen』の料理教室は、普通の家でつくっている家庭料理が基本です。私が普段つくっているもの、母から受け継いだ料理などばかり。奇をてらったものではなく、お出汁をとったお味噌汁、唐揚げ、コロッケ、餃子など、お母さんが台所で教えるような作り方や、料理の進め方を伝えています。

単純に料理の作り方だけをお伝えするのではなく、これまで私が台所で培ってきた毎日の料理に欠かせない“コツ”のようなモノも一緒に教えています。

例えば、お肉によって焼き方やフライパンの火加減も違うことや、野菜の火が通りやすい切り方などです。今の若いお母さんたちって、自分のお母さんが働いていたり、核家族で忙しくしていたりなどで、そういった“代々受け継がれてきた家庭料理の方法”を知らない人がとても多いんです。

昔は祖母や母から自然に習っていたことも、今は習う機会がなかったという方が本当にたくさんいます。家庭科の調理実習なども、私たちの子どもの頃より授業数が少なくなっていると聞きますからね。

家庭料理の高いハードル離乳食づくり

独身の時や仕事をしている時は、家庭料理の方法を知らなくてもそんなに不自由は感じなかったと思うんです。結婚後も夫婦だけだと、なんとかごまかせますからね。でも、子どもが出来た途端、そんなことを言っていられなくなるんです。

まず一番に立ちはだかるのは離乳食の壁です。実はこれが意外にハードル高いんですよ。野菜を煮たり蒸したり、すりおろしたり。さらに柔らかくしたり、適度なかたさを保ったり…。

しかも、離乳食の本を読んだら「鍋でご飯を炊きましょう」とか「かつおぶしで出汁をとりましょう」と書いてあるんですよね。「え!ご飯って鍋で炊けるの?」というように、急に高度な家庭料理の腕を求められるんです。

そんな若いお母さんたちのチカラに少しでもなれたらいいなという思いが、この料理教室の一番のコンセプトなのです。

天然のお出汁をとる、我が家の味をつくる

家庭料理なので、メニューは日本食が中心になりますから、お出汁をとることもしっかりと教えています。かつおぶしとこんぶを使って自分で出汁をとることができれば、それだけでおいしい料理のレパートリーが増えますよ。

そんな料理の基本的なことを伝えながらも、主役はあくまでもお母さんたちなので、お母さんたちの知りたいこと、やりたいこと、できないことをヒアリングし、要望を汲み取りながら進めています。

「家庭料理を学びたい」というニーズ

生徒さんは若いお母さん、産休中、育休中の方たちがほとんどです。ですから自然と共通の悩みや話題で話しがはずみますし盛り上がりますよね。料理教室だけど、なんだかサークルのような、相談室のような、実家のような…そんな居心地の良い雰囲気だと思います。

普通の料理教室って、友だち同士で参加することがあると思いますが、こちらは一人で来られる方がとても多くいらっしゃいます。誰かと連れ立ってというよりは、「家庭料理を教えてほしい!」という強い気持ちを持っていて、みんなとっても勉強熱心ですよ。

最近、私が他事業などで時間を取れなくて、コンスタントに教室を開くことができないのが申し訳ないのですが、開催日程が決まると有り難いことに、すぐ定員いっぱいになってしまうんです。それだけ家庭料理を学びたいというニーズが高いんだなと感じています。

家庭料理の基礎を学べる3つのクラス

家庭料理の基本の基から学べる「毎日のやさしいごはん」我が家の味をつくるクラス、食卓を支える調理力と基礎を学ぶ「くりまわしの教室」、食材のことや栄養のことなど台所でのコツ「おとなの家庭科教室」、この3つのクラスがあります。

現在は「毎日のやさしいごはん」クラスを主体として稼働していますが、どれも共通しているのは“普通の台所での智恵やコツを教え伝えること”です。日本の家庭料理の素晴らしさとか、大切さなどを丁寧にわかりやすく伝えていくことが、『From Kitchen』のミッションだと思っています。

手軽でカンタンにできることを知らないだけ

先日開催した料理教室では餃子を作りました。本当は皮づくりから教えてあげたいのですが、そうなると毎日の子育てと平行しながらつくるのは難しいというお母さんたちもいますよね。今後は習ってもらいたいのですが、今回は餡の作り方のコツをレッスンしました。

「家でつくるとどうしても中身がコロコロになってしまう…」という意見が多かったので、餡に中華スープを浸して柔らかくするとシットリした餡になるという、ちょっとしたコツを交えながら楽しく作りました。

もちろん中華スープも手づくりです。鶏ガラから作ると大変なので、手羽とネギとショウガを使って30分くらいでカンタンに作っちゃいます。しかも市販のモノと比べて、まろやかでとっても美味しいので、みんなビックリするんですよ。

餃子の餡や中華スープを手づくりするなんて、料理をしたことの無い人が聞いたら「なんて難しいことをするんだろう」と思うでしょう。でも実際は本当にカンタンに作れてしまいます。ただ、みんな知らないだけなんですよね。

教室名からロゴデザインまでトータルプロデュース

今年で会社企業から7期目、『From Kitchen』をオープンして4年目を迎えます。こういった家庭科的な事業や取り組みの場合、どうしても地味で真面目なイメージになってしまいがちですよね。私はそれがとても嫌だったので、立ち上げ時にはデザイン的な部分に一番こだわりました。

ちなみにこの『From Kitchen』というネーミングの名づけ親は、ブランディングデザイナーの飯島ツトムさんです。パンフレットやサイト、ロゴやキャッチのベースとなるイメージについてもご協力をいただきました。

やはりプロの方にお願いすると、とても素敵な雰囲気になりますし、生徒さんたちからも好評をいただいています。なにより私自身が気に入っていて、自信を持って仕事を進めることができているなと感じています。

素敵なデザインに囲まれてお仕事するのは気持ちがいいですし、自分の好きなことがもっと好きになるという感覚もあります。ちょっとしたことですけれど、とても大切なことだと思いますよ。

料理は難しいという固定観念を取り払う

最初はほとんどの方が「料理は難しいもの、大変なもの」だという固定概念をもって来られるのですが、教室に通い続けるうちに、その気持ちがどんどん取り払われていくのを感じます。不安でいっぱいだった姿から、楽しく料理する姿に変化するのを見るのは何よりの喜びですね。

みんな勉強熱心ですし「学びたい」という強い気持ちを持った方が多いんです。包丁の使い方もわからなかった生徒さんから「学ぶことがすごく楽しいんです」「知らないことを教えてもらえて嬉しい」と言ってもらえた時、本当に嬉しかったですし、この教室を初めて良かったなと思いました。

人材育成や保育給食事業にも尽力したい

実際の調理だけでなく、何かを作っているときについでに作業をすることや、手抜きではなく楽をしてちゃんと作る技、つまり「料理のくりまわし」スキルがアップすればするほど、料理への自信も上がっているように感じます。

そのことからも、普通の家庭料理を広めていく意義を強く感じますし、もっともっと困っているお母さんたちの力になりたいなと思っています。

今、『From Kitchen』では料理教室のほかに保育給食事業も行っています。カラダに優しくておいしいオリジナルの給食レシピを、小規模保育園に届ける食育事業になります。

今後の目標になりますが、『From Kitchen』の生徒さんたちが保育給食事業のレシピ作りなどを手伝ってくれるようになればいいなと考えています。そういった人材育成の事業にもチカラを入れていきたいですし、それがどんどん全国に広がってくれれば嬉しいですね。

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