音楽・楽器

ボイストレーニングを通し生徒の夢もサポート「クリップミュージック」

ボイストレーニングをジョイサウンドカラオケの店舗を利用して展開する「クリップミュージック」。竹下 陽一(たけした よういち)さんと松岡 将也(まつおか まさや)さんは、その立ち上げメンバーで、経営企画とマネージメントの両翼を担っています。お二人とコミュニケーションをすると、その明るさと楽しさには思わず引き込まれます。それもそのはず、二人は『十日間(じゅうじつかん)』というコンビ名で『M1』や『キングオブコント』に3年連続出場している、実力派アマチュアお笑いコンビでもあるのです。まさに「副業・複業・福業」を実践中の若いお二人。自分の可能性を信じ行動できるひとは、他人の可能性も信じて応援できる、それを実感する楽しいインタビューです。

2017年11月07日更新

松岡 将也(クリップミュージック 経営企画)

  • fb
  • line

松岡 将也 クリップミュージック 経営企画
1985年/岐阜県出身 國學院大學法学部法律学科卒業
2011年7月 個人事業recbag設立
2011年8月 東日本大震災復興支援チャリティーイベント“島国の力探してます。”主催
2011年9月 クリップミュージックに参加、経営企画担当

竹下 陽一 クリップミュージック マネージメント
1986年/インドネシア生まれ 國學院大學 経済学部 経営学科 卒業
2011年7月 個人事業recbag設立
2011年8月 東日本大震災復興支援チャリティーイベント“島国の力探してます。”主催
2011年9月 クリップミュージックに参加、マネージメント担当

「敷居は低い」がレベルは高い音楽教室

「敷居の低い音楽教室」…ホームページを見ると、驚くようなキャッチコピーが踊る、クリップミュージック。でもそれは「レベルが低い」のとはわけが違います。

クリップミュージックはもともとプロのための音響会社。レコーディング・ミキシング・マスタリングなど、プロミュージシャンが録音音源を作る上で必要不可欠な技術を提供してきました。その実績には誰もが知る大物ミュージシャンの名前が並びます。

クリップミュージックがいま、事業の大きな柱として育てたいというのは、ボイストレーニング・レッスン。ジョイサウンドのカラオケ店舗と提携して、カラオケ店でボイストレーニングのレッスンを提供するのです。お教室は大阪から名古屋、東京、埼玉など現在23か所。ジョイサウンドのカラオケ店舗があり、先生と生徒さんがいれば全国どこでもサービスが提供できます。

ボイストレーニング以外にもギター・ドラム・サックスなどの楽器レッスンにも対応しています。最近のカラオケ店舗にはドラムのセット、ギター貸出が可能なところもあり、貸しスタジオに行くよりカラオケ店のほうが安くて環境が整っている場合もあるのだそうです。

クリップミュージックの「誰もが気軽に音楽ができるよう、敷居を低く、間口を広く」したいという思いと、カラオケチェーンの「日中はお客様が少ないからレッスンをすることで店舗の回転率を上げたい」というニーズがマッチして始まったこの提携ビジネス。カラオケでボイストレーニングをすることは、歌を習いたい生徒さんにとっても大きなメリットがあるといいます。

日本人と歌とボイストレーニング

「日本人が歌を披露する場はほとんどがカラオケ店ですから、カラオケでマイクを使ってレッスンを受けるのは、お教室でマイクを使わずにレッスンするよりも実践的なのです。」

そう語るクリップミュージック事務局の竹下さんはバリバリの帰国子女。インドネシアで生まれて中学を出るまでずっと海外でした。多人種と多言語に囲まれて育った竹下さんは、日本人と歌の関係をバイリンガルの見地からこう語ります。

「声を出すということに関して、日本人は世界的に後れを取っているんです。日本語は世界の言語の中でも腹式呼吸を使わない言語なんです。歌うための発声には腹式呼吸が必要ですから、まずは歌を歌う土台を作るのが大事です。歌のリズムは後から取れるんです。」

歌う身体づくり、楽器として身体を作ってあげるためのトレーニングとは何から始めるのでしょうか?

「インナーマッスル、つまり横隔膜の運動などをします。発声をしながら横隔膜を動かす感覚を掴んでもらうために講師は様々な工夫をレッスンでしてくれます。ボイストレーニングはまずは歌う身体づくりです。」

ボイストレーニング講師は現在30名ほど在籍しており、そのバックグラウンドはとても多彩とのこと。ジャズ・ポップスの講師もいますし、音大受験のための実技や楽典を教える講師もいます。自信をもって話したいという人のために、面接での話し方レッスンやプレゼン・スピーチのための発声を教えている先生もいます。出身は音大や専門学校卒や、プロミュージシャン等に師事していた人、ライブシーンで鍛えた人など様々で、先生の男女比率はやや女性の方が多いそうです。

趣味の延長上にある「夢」もサポート

クリップミュージックでは生徒さんが通いたい店舗を選び、レッスン予約を入れるとその生徒さんの希望に沿った先生をマッチングして紹介してくれます。音楽的な追及はもちろんですが、カラオケという楽しいシチュエーションで、講師と生徒さんが一緒に楽しい時間を過ごすことを大事にしています。

生徒さんの中には趣味の延長上に「夢」や「目標」を持っているひともいます。

歌に自信がついてきたらデモテープ作成をしたい。セレクトしたカバー曲で自分のCDを出したい。iTunesに配信したい…そんな「夢」もクリップミュージックがしっかりサポートできるのだそうです!

「音にかかわることだったらなんでもお手伝いしますよ!クリップミュージックでは音楽を端から端までサポート出来ます。うちで音楽をやっているうちに『音楽にかける情熱をもっと夢を持ってチャレンジしたい!』という想いが芽生えれば、その想いにも全力で答えます。でもそこから先をモノにできるかは、その人次第ですけどね。」

そうおっしゃる竹下さんと松岡さん、自らの面白くて幅広い活躍ぶりを見ると本当に何でも手伝ってくれるだろうなと思わせます!

「つい最近も、赤坂ブリッツと東京ドームシティでライブをした自己プロデュースアイドルのお手伝いをしました。未成年だったり、個人活動だったりすると実現が困難な場面もあるので『大人・法人』としてできるサポートをしたんです。自分たちで頑張ってる人たちには、どうやったらいいか、何をしてあげられるか、考えてあげてお手伝いします。」

眠っている音楽の才能を世に送り出したい

日本は幼児音楽教育から専門的な音楽教育まで、音楽教育がとても盛んな国の一つです。大人になってもかなりのレベルの音楽が出来る人は少なくありません。ピアノひとつとっても、ピアノを弾ける人がこれほどいる国はそんなにありません。しかし同時に、日本で音楽で生計を立てるのは極めて難しいのが現状です。

プロと呼ばれる人たちの所属する楽団や事務所はそれほど多くなく、発表の場も限られており、音楽を続けていても自主ライブをしたり、自主制作CDを出すことがお金として報われる人はごく少数です。

クリップミュージックはそういった現状を変えるチャレンジもしたいと考えています。

「僕と松岡くんも大学4年間をマンドリン&ギター・アンサンブルをしながら過ごしたんです。結婚式の余興で呼ばれたり、ピアノの発表会で演奏を頼まれたりしていました。その後は普通に就職したのですが、音楽の仕事に対する思いが常にありました。音楽技術を持っている人たちをどうやってマーケットインできるか、音楽スクールビジネスの幅を広げていけたら、音楽で食べられる人が増えるんじゃないか、音楽をやっててよかったと思えるようになるんじゃないかと思うんですよね。

アマチュアとして高い音楽技術を持っているけど、どう生かしたらいいかわからない人達がいっぱいいるんです。音楽スクールや流通配信を通して、そういう人たちを例えば、講師やアーティストというお金を稼ぐ仕事につないでいくことが出来るんじゃないかと思っています。日本で眠っている音楽の技術や才能のための社会的マーケットを作りたい。楽しく音楽技術を表現できる足掛かりになりたいですね。音楽を続けていてよかった、と思っていただける環境づくりがいかに出来るかを徹底して追及していきたいです。」

若い二人の起業のきっかけ

竹下さんも松岡さんもいったんはサラリーマンとして就職し、安定した生活を送っていました。しかし現在はクリップミュージックを筆頭に複数の会社に携わり、複数の収入口を持つ「複業」の実践者です。例えば竹下さんは放送・配信関係の仕事、映像の編集、お笑いコンビ、結婚式の音響など…お二人が起業やたくさんの仕事を掛け持ちして働きたいと思ったきっかけは何だったのでしょうか。

「僕はもともと別の音楽スクールでマネージャーとして、働いていましたが、もっと音楽で何かできないかなと独立したんです。偶然、松岡くんも会社を辞めるタイミングが合って、大学のころから一緒にやりたいね、と言っていたものですから、24と25で起業に踏み切りました。」

起業した矢先に起きたのが3.11の東日本大震災。音楽でビジネスどころではない状況になったのですが、二人は逆に音楽でボランティアを始めました。

「東日本復興支援フェスを都内で企画して、公民館のようなところを借りてやって、売り上げを福島の市長さんに渡しに行きました。イベントは音楽あり、手品あり、お笑いあり、踊りあり、演劇ありの盛りだくさんの2日間でした。」

勝算があったわけではなく「やってみよう!」という気持ちで走り出したお二人。次から次へと出会いやチャンスがつながり、現在に至ったと言います。

若くして起業するメリットとは?

お二人は20代半ばで起業していま31歳と32歳。いまだに有名大学を経て大企業への就職が良しとされることも多い日本。若くして起業したことをどう考えているのでしょうか?竹下さんが口を開きました。

「ビジネスモデルも音楽のメロディも形のないもの。形のないものを少しづつ手を動かすことで少しづつ形にしていく。組織という形だったり会社という形だったり商品という形だったり…僕たちは早いうちにこれにチャレンジしたから、今、チャレンジすることが何も怖くない。頭の中にある形のないもの、アイディアが『これからどうやって形になっていくんだろう。』とワクワクする。

形になっていないアイディアに対する不安、それはあるけど、それと同じぐらいワクワクがついてくる。不安があるぶん、ワクワクの未来があるから『これ形にしてみるか』と思える。恐れることなくポジティブに不安を持てる。

独立したときにいまこんなことをしているだろうとは思っていなかったので、たぶんこの先も自分の想像していないことをもっとやっているんだろうなぁとは思います。出会っていなかった人たちと出会って、自分が今は思いつかないようなことをしていく…会社にいたときは手が届かなかったものに、起業した自分なら手が届いていくんじゃないかな、という予感が常にあります。」

頷いて聞いていた松岡さんがにっこり笑って相槌を打ちます。

「やってみたいことは、やらないと!」

「気になちゃったら、ね!」

「仕事にしちゃったほうが早いんで」

う~ん、このナイスなコンビ感!!このお二人なら、音楽で何かがしたい、自分の表現を音楽で出来ないか、という気持ちをしっかりと受け止めて導いてくれるかも知れませんね。

YoutubeやiTunesなど、誰でも表現をする場が広がった現在。そこからたくさんの才能が生まれて、たくさんの文化が生まれ、そこにビジネスが生まれる可能性もできる。行く先を見失って表現する意欲を途絶えさせないために、音楽を端から端までサポートをしたい。それによって音楽業界に新しい息吹を吹き込むことが出来るかもしれない。

若くて柔軟なメンバーが、一緒に面白いことをやろう!と生徒さんを待っているクリップミュージック。歌うのが好きなすべての人をサポートして成長する可能性を持つスクールのようですね。

(ライター:小林晶子)

  • 関連するキーワード