ライブハウスのような臨場感でジャズピアノ/ジャズボーカルを学ぶ「Music Salon PIANITY」東京都森下

森下駅徒歩3分の「Music Salon PIANITY」はジャズピアノとジャズボーカルをユニークなスタイルで学べるスクールです。広くて開放感のある教室はまるでライブハウスのよう。教室を経営する川島茂(かわしま しげる)さんは都内を中心に全国で活躍する現役のジャズピアニスト。取材当日も教室にはファンからのメッセージ付き花束がたくさん置かれていました。学ぶ場と発表の場がつねに一体となっているようにデザインされた川島先生の「Music Salon PIANITY」。大きな発表会を手配しなくても生徒さんに発表する喜びと緊張感を提供できるように考えられているのです。

2017年08月17日更新

音楽・楽器

川島 茂(ジャズピアニスト)

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ジャズは「セッション」から始まる音楽

ジャズは一人で完成できる音楽ではない、というのが川島さんの考え方。そのため「PIANITY」ではほとんど毎日のように「ボーカルセッション」が行われます。「ボーカルセッション」とはジャズを歌う人が集まり、人前で生演奏と共に歌うイベントです。広い空間に一人で立って生伴奏で歌うのは足が震えるような緊張感。

川島さんによれば人前に立ってこの緊張感を体験しながら演奏してこそ上手くなっていくのがジャズ。自分以外の参加者が何をやっているのかを見たり聞いたりするのも大事なレッスンだといいます。この「ボーカルセッション」は「PIANITY」のグループ・レッスン扱いだそうです。この日も昼夜2回のボーカルセッションが行われていました。

最初にステージに立ったのは栃木県足利市から来たという女性。まるでプロのような歌いっぷりですが続けて数曲歌っていると、ある曲で歌とピアノがかみ合わなくなってしまい演奏が途絶えました。やり直しましょう、との川島さんの掛け声でもう一度、同じ演奏を始めたものの、どうもうまくいきません。川島さんはピアノを演奏する手を止めると、歌っていた女性と一緒に楽譜を覗き込みながら指導を始めました。

「なぜ上手くいかなかったか」「どうやったら失敗なく演奏できるのか」を丁寧に確認する川島さん。プロのミュージシャンならではの本音とコツが惜しげなく披露されます。そして3度目のトライ。打ち合わせが功を奏し、素晴らしい演奏です。

びっくりしたのは、そのあと。「家でも練習しましょう!」と、川島さんは同じ曲の伴奏だけを演奏し始めました。ICレコーダーを持参すれば、家で練習するための伴奏も録音してくれるのだそうです…!これならどんどん上手くなりそうですね。

先ほどの歌い手さんは歌唱力を買われて川島さんと「PIANITY」で演奏会をすることになったそうです。レッスンからライブ体験へと繋げられるのも「PIANITY」の強みだそうです。ボーカルセッションはほとんど毎日のように開催しており、生徒さん以外の参加も歓迎しています。

個別レッスンは生徒さんの音楽性を重視

「Music Salon PIANITY」ではマンツーマンの個別レッスンも行っています。個別レッスンではジャズピアノ/ジャズボーカルともに、本人の希望や音楽的な方向性を重視してオリジナルの指導が行われます。たとえジャズ超初心者でも早い人なら3か月ほど通えば「ジャズっぽい」響きになってくるという川島さん。

ジャズピアノを例にとって教えていただきましょう。ジャズを演奏するなら「コード」と「リズム」を学ぶ必要があるそうですが、あいにくとジャズにはクラシックでいうお決まりの教本(バイエルやツェルニーなどにあたる教本)がありません。

多数の教本を書いている川島さんは自身の著書を使って指導をします。まったくのジャズ初心者であれば『わたしにもジャズが弾けた(入門編)』『わたしにもジャズが弾けた(アドリブ編)』を使用。出版するまでに2冊で3年間かかった教材で、ジャズの理論をわかりやすく噛み砕いたものです。このほかにもレベルにあわせた著書を教材として使っていきます。

初心者が最初に取り組む課題曲は『スワニー川』。誰もが一度は耳にしたことのあるとても単純で短い曲です。一般的には人気ジャズスタンダードと呼ばれる『酒とバラの日々』『All Of Me』などからレッスンを始める教室も多いので『スワニー川』だとあまりジャズっぽくないように思ってしまうのですが、川島さんによると『酒とバラの日々』『All Of Me』ともに本当は初心者向けではない難曲なのだそうです。

こうして『スワニー川』をモチーフにして、まずは「コード」を学びます。『スワニー川』の伴奏に使われるのは通常「3コード」と呼ばれる「ド・ミ・ソ」「ド・ファ・ラ」といった3つの音の組み合わせです。小学生でも弾けるような伴奏で、これがジャズっぽくなるのかしら?と心配になってしまいますが、ここにジャズっぽいテイストを醸す「テンション」という音色を加えていく「ボイシング」の練習を始めるのが川島さん流。これを通してジャズっぽい音色を選ぶテクニックを学びます。

バイエルを修了したぐらいのピアノ中級者なら月4回レッスンに通って3か月も経てば、何かしらジャズっぽいことができるようになるといいます。個人差もあるので保証までは出来ないとのことですが、努力や熱意をもって取り組めば、生徒さんはだいたい3か月を目途に「自分の音楽もジャズっぽくなってきたな」と実感することが期待できそうです。

もう一つ難しいのは「リズム」ですが、これも3か月ぐらいするとジャズのリズム感がかなり掴めるようになるそうです。「PIANITY」ではこれら「コード」と「リズム」のレッスンを通して奏でるサウンドがジャズに近づくように指導します。

川島さんはピアニストですが、ボーカルもご自身で教えているとのこと。ジャズボーカルというと「発声」と英語の「発音」ばかり教える風潮が強いのだそうですが、バンドと実際に歌おうと思ったら、それよりも大事なことがいっぱいあるというのが川島さんの方針。発音にとらわれすぎる必要はないし発声だってこだわりすぎる必要はないそうです。「PIANITY」ではジャズボーカルにも歌い方より「ジャズ」らしさを教えていきます。

ボーカルレッスンは「ボーカルセッション」(前述・プロのジャズピアニストの伴奏で人前で歌うイベント)できる環境も整っているので、個別レッスンとグループレッスンにあたる「ボーカルセッション」を組み合わせていくことで上達が早まるそう。初心者はもちろんですが、ある程度まで歌えるけど伸び悩んでいる、バンドと合わせるとうまくいかない、という歌い手さんにぴったりのレッスンといえそうです。

多忙な現役ピアニストが教室を始めたわけ

「Music Salon PIANITY」の入口には川島さんがエル・サルバドル・ジャズフェスティバルで演奏したときの大きなタペストリーが掛かっています。川島さんは奥様で歌手の豊岡まり(とよおか まり)さんとユニットを組み、国内だけでなく海外のジャズ祭にも参加しているとのこと。教本だけでなくCDもいくつも出しています。現役の多忙なピアニストが教室を始めたきっかけを伺ったところ、川島さんの口から出たのは意外にもリアルなジャズシーンへの危機感でした。

「最近のジャズシーンでジャズをまじめに聞く風潮がなくなってきている、というのを感じています。それをなんとかしたいと思っているんです。ジャズを耳にする機会は増えています。喫茶店やスーパー、焼き鳥屋さんなど。でもそれはBGM。ジャズが『聞くもの』ではなく『聞こえてくるもの』になってしまったと感じています。『おしゃれな環境音楽』みたいな、ね。普段自分では聞かないけど、耳触りがよく、クラシックほど堅くない、という程度の扱いで。

若い世代は今のスタイルでジャズをやっていく必要があると思います。アメリカのジャズはヒップホップやロックを取り入れて融合したり、時代に合わせて進歩している。根柢のところに説得力のある『ジャズ』があれば何でもありなんだと思います。僕自身のアルバムは何枚か出しているもののうち、オーソドックスなジャズというものは1枚ぐらいしか出していません。ボサノバやフュージョン、日本の民謡などもやりますし、最新作はクラシックをモチーフにしています。でもどれも僕の「ジャズ」を反映した作品のはずです。

自分のスタイルの『ジャズ』に辿り着くためには、まずは説得力のある『ジャズ』をできるようになるしかない。説得力のある『ジャズ』が生まれるためには、温故知新じゃないですけど、ジャズの古典を知っておくことだと思います。これぞジャズ、というような。そのための場を提供したいんです。だからこの教室で一番得をするのは、自分はどんなジャズがやりたいのか、目的意識のはっきりしたジャズ中級者かも知れません。」

最後に、この教室の魅力をお伺いしました。

「教室の空間をライブ演奏のために貸し出しているので、練習から発表までがつながっていることですね。ライブをする喜びをすぐに体験してもらえると思います。また発表活動をするとついて回りがちな、大きな出費や大人数の集客などなく、純粋に音楽を追求できる場を提供できます。僕はピアニストやボーカリストの味方になってあげる場が作りたいので。」

川島さんは現在もピアニストとしての活動があるので、個別レッスンは平日の昼間および土日を中心にレッスンを組んでいます。ボーカルのグループレッスンにあたる「ボーカルセッション」ではいつでも川島さんのピアノで実践的なジャズボーカル体験ができます。リアルなジャズシーンでずっと仕事をしてきたピアニストがつきっきりで歌い手を伴奏、本音でコメントをしたり、上達のコツを教えてくれるのは歌い手にとって贅沢な経験かも知れません。

(写真と文:小林晶子)

レッスン費用など

個人レッスンは入会金10000円(現在は入会金無料キャンペーン中)、チケット制(1レッスン50分・5000円)です。体験レッスン(30分)あり。グループレッスン(ボーカルセッション)は2000円+飲み物の実費。

問い合わせ時・または体験レッスン時に音楽的な希望をよく伝えてもらえば、ご本人の嗜好に合わせてレッスン内容をカスタマイズ可能。

ボーカルセッションへの参加について

ボーカルセッションは予約不要、先着順です。スクールの生徒さん以外でも参加できます。1人1曲ずつ歌って頂きます。日によってはジャンルにこだわらずに歌える「オール・ジャンル・セッション」もあります。事前にHPでご確認ください。

●セッション時間;午後の部 14:00~17:00(月・水・金・土)、夜の部 19:30~22:30(月・水~日)
※開店は、セッション開始30分前です。火曜日定休。セッション開催日については、まれに変更になるので、必ずHP、あるいはEメール等でで、その日のスケジュールをご確認の上お越し下さい。開始時間に関してもご予約や当日集まりの人数により定刻よりも早く開始する事があります。

お教室情報

【Music Salon PIANITY】
●住所:東京都墨田区千歳3-18-3 三橋ビル202
●電話:070-6432-3803(営業時間内のみ)
●アクセス:地下鉄 都営新宿線/都営大江戸線 森下駅A5出口から徒歩3分
●メール:pianity@nifty.com ※ご連絡・お問い合わせはメールでお願いします。
●ホームページ:http://pianity.wixsite.com/top-page
●スケジュール:こちらから

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